動きだけじゃない、変化するために必要な感じる力
そのことを考える時、もう一つ大事なことがあるのです。
それは「感覚」、つまり感じる力についてです。先に述べたように、日々身体以外のことに注意が注がれている、ということもあります。
それ以外に、関節がずれるなど身体の変化があっても、体はその状態に「慣れる」という適応力も持っています。
不調が起こったとき、初めはちょっと不快なのですが、動きが不自由に感じても、しばらくするとそれに慣れてしまいす。軽いケガや不調ならしばらくすると忘れてしまいます。他の人に聞かれて、
「あーー、言われてみればあの時ケガしたっけ、、、」
と思い出す程度で、忘れてしまったトラブルは、
皆さん一つや二つは経験があるかと思います。
もっと重症で、例えば骨折でギブスと杖で歩くことになってしまっても初めは慣れないのですが、しばらく生活するとそれに慣れてしまう。
それも必要なことで、身体の動き(にくさ)に慣れることで怪我や不調にとらわれることなく、もっと大事な仕事や家事や勉強などに集中できるのですから、 感覚が「適応」する力も、ありがたい能力ではあるのです。
一方、脳というのは新しい状態に“慣れる”だけでなく逆に痛みなどの嫌な感覚を“鈍く”させることもあります。その結果、何が快適か、気持ち良いのか、感じるとる力も
鈍くなってしまいます。
また筋肉でも同じように弱い筋肉、硬い筋肉などは「筋肉の収縮を感じること自体が鈍く」なっています。
時々、「マッサージに行ったらで「すごく凝っていますね」って言われたんだけど、
自分では全然分からなくてー」とおっしゃる方がいますが、これはつまり、こっていること自体=筋肉が硬くなって動かない状態に気がついていない、ということです。
筋肉は動かないと弱くなり、
→弱い筋肉は感覚も鈍くなり、
→使うことができなくなっていき
→さらに弱くなっていく
という悪循環が生まれます。
ですので、自分の身体の良い状態を知るために大事なことは、
・力が入っている、入っていないことを感じられること、
・正しい動き、気持ち良い動きに対してもっと感覚を高めること
・それが難しくても、日頃から意識をすることが、
正しい姿勢や、正しい動き、気持ち良い体の状態を感じるからこそ異常な変化がある時に早めに気付くことができる。
これがトラブルを起こさない、ひどくしないための第一歩です。