前のⅠ章では“一人一人の骨や筋肉の形状が元々違う”と書きましたが、さらに身体には、怪我や環境の変化があっても活動を維持できるよう、骨や筋肉の形や性質を自ら「変化」させて「適応」させる仕組みがあります。
<骨の変化の一例>
・加齢、刺激が減る→弱くなる
・ぶつかる→すり減るor厚くなる
・筋肉に引っ張られる→骨が盛り上がるor 割れる
・刺激が続く→強くなる
・圧迫が続く→強くなるor曲がる(幼少期)、抑制される
<筋肉の変化の一例>
・加齢、運動の減少→弱く、細くなる
・使わない(不動)→伸びきる、薄くなる、動かない
・縮んだまま→骨(靭帯)のように硬くなる・動かない
・使いすぎ→切れる、炎症
など、さまざまな「変化」があります。

ポイントは動きが悪くなった筋肉の代わりとして周りの筋肉が協力をしてその動きをカバーすることです。多少の筋肉が弱くても、多少の筋肉が無くなっても、周りの筋肉が補って、あるべき動きを継続する。これがもう一つのポイントである「適応力」です。
普段の動きの癖や、同じ作業の繰り返す同じ動きや、加齢による組織的変化に、
体が“適応”するために“変化”している、そんな仕組みは人が動き続けるためには必要な能力であり、身体の持つ素晴らしい能力でもあります。
ただ、問題となるのは本当に必要な機能の“代わりのシステム”で動くので、
・動きの効率が悪くなったり(=協調性が悪くなる)
・疲れが一部に集中したり、、、と
からだの不調の原因にもなることです。
<からだに不具合なく生活を送るためには?>
筋肉に関しては、加齢による自然な衰えというものは、本来少ないと言われています。
100歳でもトレーニングをすれば筋力がつく、という例もありますし骨は刺激を与えると強くなります。
(どちらも適切な栄養摂取も必要です)
理想的には自分の体が持つ機能を最大限に活かし、負担の少ない動きや、筋肉をバランスよく整え、関節に負担の少ない動きを保つような予防的な運動をしていけば、
加齢によるマイナスの変化は最小限に抑えられるはずです。
それを妨げているのは、
・からだに悪い変化(協調性が悪い方向の運動)を続けている環境=悪い癖が身についている
・悪い変化をカバーして動きがアンバランスになっていることに気づいていないこと
(感覚が悪い方向へ適応してしまっていること)
・自分の方らだの機能にあったエクササイズやトレーニングの方法を知らないこと
などだと思います。
「変化と適応の仕組み」は、多少の怪我や不調に振り回されず、生活を続けるためには必要な能力です。
ただ、自覚がないまま放っておくことがトラブルの原因となりますので、自分の癖、アンバランスになっている動きなどを知り、意識して修正をする、正しい動きを身につける、など予防する意識が大事です。